ロープレの練習を積んでいる。逐語記録も書いた。
でも、それを「どう振り返ればいいか」がわからない。
キャリコン実技の準備で、そこに詰まる人は多い。
私は就職情報会社で10年ほど就活生のキャリア支援と大学での研修講師として働いてきた。
その経験を使って、「AIを使った逐語記録の分析」を実践している。
どこまでできるのか。何が変わるのか。この記事で具体的に見せる。
AIだけでは出ないフィードバック
最初に前提を書いておく。
ChatGPTやClaudeに逐語記録をそのまま貼り付けて「フィードバックください」と送っても、当たり障りのない感想しか返ってこない。
理由は単純で、AIはキャリアコンサルティングの評価基準を知らないからだ。
「国家試験の評価軸」「2級で見られる見立ての深さ」「口頭試問で何を説明すべきか」
——これを正確にAIに伝えられるかどうかで、返ってくる内容がまったく違う。
逆に言えば、正しいプロンプト設計があれば、AIはプロ品質のフィードバックを出せる。
実際に出てきたレポートの中身
技能士2級受験者の逐語記録を分析した例を、一部紹介する。
クライエントは35歳男性の店長。
「忙しくて自分の将来を考える余裕がない」「転職も視野にあるが何から考えればいいかわからない」という相談だった。
見落とした感情への指摘
「何も答えられなかった」という発言は、単なる情報不足ではなく、友人と比較して自分の将来像がないことへのショックや焦りが含まれています。ここでは「何も答えられなかった時、どんなお気持ちでしたか」と感情を深めるとよかったです。
より効果的な言い換え例(Before / After)
| 実際の質問 | より効果的な言い換え |
|---|---|
| 「なんで望ましくないんですか」 | 「その状態を望ましくないと感じるのは、田中さんが本当は大切にしたいものと違ってきている感覚があるからでしょうか」 |
| 「5年後40歳、どういう状態でいらっしゃいたいと思いますか」 | 「まず仕事と生活のバランスでいうと、5年後にはどんな状態になっていたら、今より納得できそうですか」 |
見立て
転職そのものが主訴というより、中心テーマは
「仕事に追われ、自分の価値観・将来像・生活の軸を見失っていること」。
現職への不満よりも、働き方・役割過多・将来設計の未整理が課題。
まずは転職可否を急がず、価値観・理想の生活・今の会社で実現可能な働き方を整理する支援が必要。
口頭試問の模範解答例
Q. 相談者の問題をどう見立てましたか。
転職経験がないことや転職への不安もありますが、中心的な問題は転職そのものではなく、店長業務に追われる中で、自分の価値観や将来像、生活の軸を考える余裕を失っていることだと見立てました。
また現職への不満は大きくないため、転職だけでなく、今の会社で働き方を見直す可能性も含めて支援する必要があると考えました。
これは一部だ。
実際のレポートはSTEP1(逐語記録)からSTEP5(理想的な面談の進め方ヒント)まで10ページに及ぶ。
レポートの全体構成
| STEP | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | 逐語記録(全発言の整理) |
| STEP 2 | 面談サマリー(主訴・背景・感情・見立て・到達点) |
| STEP 3 | フィードバック(見逃した感情・言い換え例・面談展開評価・キャリア自律へのヒント) |
| STEP 4 | スキルアップアドバイス(課題スキル3つ、練習法つき) |
| STEP 5 | 理想的な面談の進め方(目標設定・次のステップ・2〜4回目の展開・CCとしての関わり方) |
さらに口頭試問の模範解答例(主訴・見立て・できたこと・不十分だった点・今後の支援)が5問セットで付く。
なぜここまで出せるのか
AIが賢いからではない。
「キャリアコンサルタントの試験で何が評価されるか」「面談でCLのどの言葉を拾うべきか」「見立てをどう言語化するか」
——そこを正確に言語化したプロンプトがあるからだ。
10年間、就活生や大学生のキャリア支援をしてきた経験と、国家資格取得の過程で積み上げた知識を、プロンプトに落とし込んでいる。AIはその設計の通りに動く。
「AIが分析している」のではなく、「どう使うかの設計をキャリコン自らがしている」というのが正確な表現だと思っている。
3つのプロンプト集・サービス
用途に合わせて3種類を用意している。
プロンプト集A:国家資格キャリアコンサルタント試験向け
傾聴・関係構築・主訴整理を中心とした国キャリ実技に特化したプロンプト集。
自分でAIに貼り付けて使う形式。
プロンプト集B:技能士2級向け
見立て・自己概念・口頭試問の言語化に特化した2級向けプロンプト集。
2級基準の深さで分析できる設計になっている。
サービス紹介
この記事で紹介したレポートを自分で再現するためのプロンプト集。
STEP1〜5の構成で分析できる。
詳しい内容と、どれが自分に合っているかはこちらのまとめ記事で確認できる。
▶ キャリコン試験・技能士2級のロープレ練習にAIを使うなら、まず読む記事
逐語記録の分析を依頼したい方へ
「プロンプトを自分で使うより、分析してもらいたい」という方向けに、逐語記録をお送りいただくとレポートを作成してお返しするサービスも提供している。
国キャリ向け・2級向けそれぞれ用意している。詳細は上記のまとめ記事から確認できる。
Ritaより
10年間、就活生のキャリアに向き合ってきた。大学の講義やキャリア相談で、学生が自分の言葉でキャリアを語れるようになる瞬間を、何度も見てきた。
国家資格の勉強を始めたとき、支援する側として「わかっているつもり」の部分がいくつもあると気づいた。試験は、その「つもり」を言語化させてくれる場だと思っている。
ロープレを振り返ることは、自分のカウンセリングを客観視することだ。
AIはその鏡として使える。ただし、鏡の精度はプロンプトの設計で決まる。
試験、うまくいくといいですね。応援しています。
Tunagu Works / Rita
参考:国家資格キャリアコンサルタント試験(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会・日本キャリア開発協会)

