「5年後のキャリアプランを教えてください」
就活の面接で必ず聞かれるこの質問。転職面接でも、自己啓発本でも、「キャリアは計画するもの」という前提がずっとあった。
でも正直に言う。私のキャリアに、計画通りにいったことはほとんどない。
それでいい、と教えてくれた人がいる。ジョン・クランボルツ。スタンフォード大学の教授で、「計画された偶発性」という理論を作った人だ。
クランボルツって、どんな人?
ジョン・D・クランボルツ(John D. Krumboltz)は1928年、アメリカ・アイオワ州生まれ。2019年に91歳で亡くなるまで、スタンフォード大学でキャリアカウンセリングの研究を続けた。
彼を知る人が口を揃えて言うのは「あたたかくて、ユーモアがあって、いつも笑顔だった」ということ。オフィスのドアはいつも開いていたという。生涯テニスを愛し、80代になっても週に何度もコートに立ち続けた。
そして面白いのは——「偶然を大切にしろ」と説いた彼自身が、偶然の連続でキャリアカウンセリングの世界にたどり着いた人間だったことだ。
もともと牧師を目指していたクランボルツが行動科学に出会ったのは偶然だった。スタンフォードでバンデューラ(自己効力感の研究で有名な心理学者)と出会ったのも計画外だった。「自分がまさに偶然の連続で生きてきたから、この理論が生まれた」と語ったこともある。
なぜ「計画された偶発性」を作ったのか
クランボルツが長年のカウンセリングの中で気づいたことがあった。
「クライアントの多くが、計画通りのキャリアを歩んでいない」
転職のきっかけを聞くと、ほぼ全員が「たまたま声をかけてもらった」「偶然参加したイベントで出会った」と言う。でも当時の主流理論は「ゴールを決めて逆算して計画する」が中心だった。
1999年、彼はこう発表した。
「偶然の出来事はキャリアを邪魔するものではなく、むしろキャリアを作るものだ」
計画された偶発性とは何か
「計画された偶発性」という名前は矛盾しているように聞こえる。偶然なのに、計画?
意味はシンプルだ。「偶然のチャンスを活かせる状態を、意図的に作っておく」
クランボルツが提唱した5つのスキルがある。
| スキル | 内容 |
|---|---|
| 好奇心 | 新しいことに興味を持ち続ける |
| 持続性 | 失敗してもあきらめずに続ける |
| 柔軟性 | 状況に応じて考え方を変える |
| 楽観性 | 新しい機会は必ず来ると信じる |
| 冒険心 | 結果が不確かでも行動してみる |
AI時代にこそ、この理論が刺さる
クランボルツが理論を作った1999年、AIはまだSFの話だった。でも今、私たちは誰も先が読めない時代にいる。5年後に存在する仕事が何かわからない。そんな時代に「10年後のキャリア計画を立ててください」と言われても難しい。
だからこそ、クランボルツの言葉が刺さる。
「ゴールを決めることより、偶然を活かせる人間になることを目指せ」
好奇心を持ってAIを触ってみる。よくわからないまま参加したコミュニティで思わぬ出会いがある。なんとなく始めた副業が、2年後に本業になっている。これはすべて「計画された偶発性」だ。
Ritaより
私自身、クランボルツの言葉に何度も救われてきた。
今こうして「キャリア × AI × ヨガ」という組み合わせで発信しているのも、計画したものじゃない。ブログ自体はずっと前から書いていたけど、更新は数ヶ月に一度がやっと。それがAIを使い始めたことで、手間が激減した。気づいたら更新頻度が上がり、AIをCEOに任命したら会社ができていた。
「計画が崩れても大丈夫」——偶然を活かせる5つのスキルを育てながら、目の前のことに好奇心を向けていれば、思いもよらない場所に連れて行ってもらえる。
AIと一緒に「自分の計画された偶発性」を振り返る
クランボルツ理論を自分に当てはめてみたいなら、以下のプロンプトをClaude(またはChatGPT)に試してみてください。
プロンプト①:偶然の出来事を振り返る
私のキャリアを振り返りたいです。
これまでの仕事や出会いの中で
「計画していなかったけれど、結果的によかった」
出来事を3〜5個、一緒に整理してもらえますか?
プロンプト②:5つのスキルを自己評価する
クランボルツの5つのスキル
(好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心)について、
今の自分がどのくらい持っているか確認したいです。
各スキルを1〜10点で評価する質問を1つずつしてください。
次回はシュロスバーグ編。転機をどう乗り越えるか、4つの視点で考えます。
Tunagu Works / Rita
参考:Mitchell, K. E., Levin, A. S., & Krumboltz, J. D. (1999). Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities. Journal of Counseling & Development.
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